四方を海で囲まれた島、当然のごとく漁業は島の経済の柱でした。近年は漁業の基盤整備も充実し、技術も大きく飛躍したのですが、資源の枯渇化が進んでしまい、社会経済状況の変化も相俟って漁業経営も苦しい年が続いています。原因の一つとしては管理型の漁業が徹底していないことが挙げられます。島によっては多少の違いがあるのかもしれませんが、欧米の漁師のように、息子のために残しておくという基本的な姿勢が見られない気がします。
島の役場に勤めていた時、水産行政に深く関わっていた先輩がいました。島の漁業を憂い、管理型、栽培漁業の必要性を訴えていた彼は、役場退職後、その退職金を投じ、自宅の裏の倉庫を改造し、設備を自力で作り上げ、アワビの養殖を始めました。行政を頼らず、自分でリスクを背負いながら島の漁業の将来を見据えた取り組みに挑戦しています。現在は、5千個のアワビをあと2年養殖し、島内に限って出荷する予定だそうですが、大きな期待を寄せていると共に彼の成功を心から願っています。
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