今、仕事で新島と式根島にきています。式根島は昔から変わらない風景が多く残されている魅力的な島です。俳優の渥美清さんが、生前、撮影でロケ地となった式根島に家族と来たがっていたということを新聞で知りましたが、その気持ちがよくわかります。
野趣あふれる温泉とおいしい魚料理、人情溢れる住民たちは、観光地としての基本的な要素をかねそなえています。漁師でもある、民宿のご主人の話を伺っていると、島の人たちが、自然を守り、地域の将来を真剣に考えていることが、ひしひしと伝わってきます。
観光と漁業が島にとって、重要な産業であることは島の多くの住民たちが理解していることなのですが、一方では公共事業で島を維持していこうと考える人たちもいます。社会資本の整備だ、本土との格差を無くすのだ、島にお金が落ちるのは公共事業が手っ取り早い、とコンクリートだらけの島にしてしまうのは、本当にもったいない気がしてなりません。自然を守ったり、エコな暮らしを実現するための公共事業がもっと増えてもいいはずなのですが・・・。
渥美清の死から6年後、手帳が週刊誌上で公開された。
最後のページには、伊豆の式根島で ゆっくりしたい、と書いてあった。
そこに続く文字を見て、早坂さん(脚本家の早坂暁)は号泣した。
「家族とぎょう(暁)さんにも声を掛けて一緒(=緒、原文ママ)に行こう。」
(朝日新聞、2001年5月23日土曜日
「うたの旅」掲載)
投稿情報: こんちゃん | 2009年6 月15日 (月) 01:07